このページの目次
離婚問題における女性特有の知識
- 夫のモラハラ、DVに悩んでいる…
- 夫との同居が耐え難く、別居しようか悩んでいる…
- 子どもの親権をとれるのか、養育費の支払いを受けられるかが心配…
- 専業主婦だったが財産分与を受けたい…
- 離婚後の将来の生活が不安…
日本では社会においても夫婦生活においても、一般的に女性が弱い経済的に立場に置かれていることは否定できません。
当事務所は、女性弁護士が離婚で悩む女性から多くの法律相談を受け、実際に離婚事件を解決してきた経験と実績を有しています。
離婚事件といっても、男性が知っておくべき知識と女性が知っておくべき知識は全く異なります。
ここでは、女性が持ちやすいお悩みと知っておくべき知識、そして当事務所が女性の相談者からよくいただく質問について説明します。
1 親権について
多くの家庭における子どもの世話や養育は女性が担っているのが実情です。そのため、離婚後の親権を女性は望む方が多いのですが、離婚協議段階になって突然、夫側が子どもの親権にこだわり出すことが少なくありません。
そのため、特に女性はどのような場合に子どもの親権をとることができるかについて知識を持っておく必要があります。
子どもの親権は、主に以下のような基準で、父母のどちらを親権者とすることが子どもの利益になるか、という観点から判断されます。
- 家庭生活における子どもの養育を誰が主に担ってきたか
- 子どもと父母のどちらが良好な関係を有しているか
- (別居している場合)どちらと子どもが住んでいるか
- 離婚後、子どもは父母どちらと長く過ごすことができるか
- 子どもが乳幼児の場合は母親が有利
以上の基準からすれば、一般的には母親が有利になることが多いといえます。もっとも、別居をしているが子どもは父親と同居している場合には、必ずしも母親有利とは言えません。
他方で、父親の収入が高いからと言って、親権者の指定に父親が有利となるわけではありません。経済力の強弱は養育費の支払いで調整されることになります。
シングルマザーでも養育費の支払を受けながら、できる範囲で収入を得て子どもを養育している方がたくさんいます。
子どもの養育を担っている母親、別居後子どもと一緒にいる母親が子どもの親権について心配する必要は多くはありません。むしろ、離婚後、子どもと同居してどのような生活をするのか設計しながら、離婚交渉を進めていくことをお勧めします。その中で、養育費、財産分与、慰謝料と言った相手方からの給付が女性と子どもの離婚後の生活の支えになることは言うまでもありません。
2 養育費について
養育費は、父母双方の年収によって決まることになります。
しかし、実際上、離婚後、子どもが成人するまでの間きちんと父親が養育費を支払うケースは多いとは言えません。
父母の収入によって養育費の金額が決まると言っても、離婚時にきちんと取り決めを行う必要があり、離婚時に取り決めていなかった場合には母親が父親に対して具体的に請求しなければならないからです。
離婚時に養育費の取り決めをする場合、毎月いくら、子どもが何歳まで養育費を支払うかを明記した協議離婚書を必ず作成しましょう。父親側は協議離婚所の作成を渋るかもしれません。しかし、協議離婚書の作成は支払を受ける側にとって必要不可欠です。
そして、これを公正証書として残しておくことを強くお勧めします。なぜなら、協議離婚所を公正証書で作成しておけば、相手方が後になって支払を怠った場合には、すぐに給与や預貯金を差し押さえることが可能になるからです。これに対して、公正証書でない場合には、家庭裁判所ないし地方裁判所に養育費の金額を確定してもらう手続を経なければならず、時間とお金が余計に掛かってしまいます。
もちろん公正証書を作るにはお金が掛かりますが、公正証書の効果を考えればそれ以上のメリットがあるといえるでしょう。
3 財産分与について
結婚期間中に夫婦で貯めた財産については、たとえ夫名義であっても妻は相手方に対して財産分与として財産形成に寄与した部分を請求することが認められます。これを財産分与といいます。
たとえ専業主婦だったとしても、家事や子供の養育といった夫のサポートをしていたとして、夫名義の財産の分与を請求することが可能です。現在は、財産分与の割合としては2分の1とされることが多くなっています。
財産分与の対象としては、以下のものとなります。
- 預貯金
- 不動産(オーバーローンの場合、負債も財産分与の対象となります)
- 退職金(婚姻期間分)
- 自動車
- 社内積立、株式、投資信託等
- 金、プラチナ等の貴金属
- 高価な時計等
専業主婦で自ら稼いでなかったとしても財産分与が認められることが一般的です。特に、仕事をしてこなかった女性にとっては離婚後の生活設計が重要となります。そのため、財産分与は、女性の離婚後の生活の再スタートに重要な役割を果たすことになります。最も重要な離婚条件の一つですので、最大限の財産分与を受けるべく、離婚にあたっては離婚に強い弁護士に相談されることをお勧めします。
4 婚姻費用について
離婚が成立する前に別居を検討する女性はかなり多くいらっしゃいます。しかしながら、専業主婦だったり仕事があっても収入が低い場合には、別居後の生活費が心配でなかなか別居を踏み出せない、という方が多いのが実情です。
このような場合には、別居と同時に相手方に婚姻費用を請求する方法が効果的な解決策となります。
夫婦は、別居していて離婚協議中であってもお互いに扶養しなければならない義務があるので、別居を開始した場合、収入の高い夫は妻に対して生活費を支払わなければなりません。これを婚姻費用といいます。
そのため、離婚成立前に別居を開始しても、収入の低い(ない)妻は夫に対して婚姻費用を請求できるので、このことを念頭において別居するかどうかを検討すべきです。別居について夫に責任がない場合でも、婚姻費用の支払い請求を夫は拒絶することはできません。仮に拒絶した場合、家庭裁判所に対して婚姻費用分担調停の申し立てを行うことで、支払いを受けることが可能になります。
5 離婚後の生活設計について
離婚後の生活設計は、離婚を考えている女性にとって最も懸念するポイントです。
特に、子どもをつれて自立して生活していくことは不可能なように思われ、離婚をちゅうちょする理由の一つになっているのが実情です。
しかし、相手方との婚姻関係が破たんしているにもかかわらず、お金のために同居生活を続ける方が、精神的負担が大きいだけでなく最終的には解決を遅らせる要因となります。
お金の問題については、相手方からきちんと財産分与、慰謝料、養育費の支払いを受けることによって軽減することが可能です。
当事務所は、離婚に強い女性弁護士が所属しており、相手方からきちんと財産分与、慰謝料、養育費を受けることで離婚後の生活を見据えた離婚の戦略を立てるサポートをしてきました。
離婚でお悩みの女性は一人で考えず、離婚に強い女性弁護士に早めに相談されることをお勧めします。