Archive for the ‘離婚ブログ’ Category

モラハラと自己愛性人格障害について

2023-03-05

配偶者からのモラハラで悩んでいる方は少なくありません。

何気ないところで激昂する…

一度怒り出すと何時間も罵倒・説教が続く…

一般常識から離れたマイルールで家庭内がコントロールされる…

ことあるごとにパートナーや子供をバカにした小言や嫌味を浴びせられる…

私物やスマホを勝手に盗み見られる…

 

これらの行為はすべて、モラル・ハラスメント(夫婦間における精神的DV)と言えます。

モラハラの被害者は、夫婦である以上、我慢するのが当然だと考えたり、言い返すと生活費を入れてもらえなくなるという恐怖から、モラハラ加害者の言いなりになってしまうことがよくあります。

また、モラハラ加害者は異様に弁が立つため、話し合いをしても建設的な会話にならなかったり、加害者であるのに被害者であるかのようなふるまいを始めることもよくあることです。

 

このような配偶者のモラハラの背後には、配偶者自身がパーソナリティ障害(特に、自己愛性人格障害)を抱えていることが少なくありません。

自己愛性パーソナリティ障害を持つ者は、自分の能力を過大評価し、自分の業績を誇張し、他者の能力を過小評価する傾向があるものとされます。

そして、自己愛性パーソナリティ障害と診断するには、自分の重要性と才能についての誇大な、根拠のない感覚、無条件に賞賛されたいという欲求、特権意識などを持っているかどうかで判断します。

※MSDマニュアル家庭版より。

 

しかし、ここで難しいのは、自己愛性人格障害を持つ者は「内」と「外」で顔色を使い分ける、という点です。

つまり、外向きでは良い顔をし、良き配偶者を演じるため、医師の前で本当の自分を見せることはありませんし、モラハラ加害者は自分は普通の人より優れていると考えていますから、そもそも病院へ連れて行くこと自体が難しいのです。

 

このようなモラハラ加害者と閉鎖的な家庭という空間で生活していると、被害者の精神が蝕まれてしまいます。

モラハラは、暴力などのDVとは違って、配偶者による目に見えない虐待です。

当事務所は、モラハラ離婚で多くの事案解決を重ねてきた実績があります。

証拠の集め方や別居の始め方など、モラハラ離婚については経験のある弁護士のサポートのもとで対応することで、少しでもより良い解決へ向かいます。

で悩んでいる方は、心が壊れる前に、一度、弁護士に相談することをお勧めします。

【離婚・男女問題】示談書の作り方【3つのポイント】

2022-02-13

離婚や不倫相手に対する慰謝料の請求、もめ事を解決する際には示談書を作ることが重要です。

なお、離婚の際に作成する示談書は「協議離婚書」と呼ばれることが多いです。

※トラブル解決時に書面を作成するメリットはこちらの記事をお読みください※

 

この記事では、示談書(協議離婚書)を作成する場合における一般的な注意点を3つのポイントに分けて説明します。

 

ポイント①:示談の対象を特定すること

ポイント②:当事者の権利・義務をできるだけ具体的に記載すること

ポイント③:清算条項を忘れずにこと

 

ポイント①:示談の対象を特定すること

まず最初のポイントは、示談書の冒頭にて示談で解決する対象(紛争・事件のこと)を特定することです。

例えば、Cと結婚関係にあったAと第三者Bの浮気による慰謝料の解決に関しては、AとBの間の特定の日の不貞行為なのか、全期間の不貞行為なのかをきちんと特定しなければなりません。

トラブルを解決するために示談書を作る以上、そのトラブルをきちんと当事者で特定して合意しなければならない、ということです。

もし示談の対象の特定が不十分であれば、お金を払う当事者からすれば、さらなる金銭の請求を受けるリスクが残ることになるのです。

 

ポイント②:当事者の権利・義務をできるだけ具体的に記載すること

示談書作成にあたっての2つ目のポイントは、示談する当事者の権利・義務を具体的に記載することです。

「権利」「義務」というと難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと、お金の支払い、物や不動産の帰属等について①「いつ」②「誰が」③「誰に対して」④「何について」⑤「どのような行為をしなければならないか」という点を明記することです。

例えば、不貞行為による慰謝料でいうと、

「②Bが③Cに対して、④本件不貞行為の慰謝料として、①2022年2月末日までに、⑤150万円を銀行振り込みの方法により支払う。ただし、振込費用はBの負担とする」

といった条項になります。

この条項では、上記のポイントがすべて盛り込まれていることがわかります。ここで、④については、「本件不貞行為」と記載していますが、本件不貞行為が何を言うかという点について、ポイント①で説明した対象の特定を行わなければなりません。

なお、小さなトラブルを防ぐために、振込費用までどちらが負担するかを明記することをお勧めします。

 

ポイント③:清算条項を忘れずにこと

最後のポイントとして、示談書の作成にあたっては清算条項を付け加えなければなりません。

清算条項とは、ポイント①で特定した紛争に関しては、締結する示談書に記載する以外には、当事者に何らの権利義務もないことを確認する約束です。

清算条項の合意によって、示談書以外には、当事者は何らの請求もクレームの申し立てもできないことになり、紛争が解決されることになります。

例えば、不貞行為の慰謝料の事案では、

「CとBとの間には、本件について、本示談に定めるほか何ら債権債務のないことを相互に確認する。」

という条項になります。

清算条項の合意によって、浮気をしたBは示談書に書かれた以上のお金を支払う必要がなくなるのです。

 

示談書作成は弁護士へ相談することをおお勧めします

トラブルが起きた場合に示談書を作成して解決する以上、法的に有効な形で作成することをお勧めします。

そのために重要なことは、やはり法律の専門家・弁護士に相談することです。

当事務所は、離婚・男女問題に10年以上の経験を有する女性弁護士が、示談書・合意書・公正証書といったトラブル解決のための書面作成のアドバイスを行っています。

離婚(養育費・親権・慰謝料)・男女問題でお困りの方は、当事務所の法律相談をご利用ください。

なお、法律相談は有料(30分5500円、女性の場合初回1時間まで5500円)で事前予約制(電話:011-281-4511、WEBフォーム)となっております。

【離婚・男女問題】トラブル解決時に書面を作成する3つのメリットとは?【示談書・覚書】

2022-01-31

協議離婚の合意書…

養育費支払いの公正証書…

慰謝料の示談書…

 

当事務所はこれまで多くの離婚トラブル・男女問題の法律相談にあたってきました。

弁護士がトラブルや事件の解決を行う場合、必ず書面を残しますが、なぜ、解決した内容を書面で残すことが重要なのでしょうか?

この記事では、離婚・男女問題のトラブルが起きた場合において「合意書」「示談書」「公正証書」といった書面で解決する3つのメリットについて解説します。

 

メリット①解決したことの明確な「区切り」になる

離婚や不倫の慰謝料でトラブルになった場合に、お互いが解決する内容に納得して「示談書」や「合意書」といった書面を作った場合、これが解決の「区切り」になります。

きちんと書面を解決して解決の区切りをつけることで、後になって「前回のお金の支払は解決金の一部で、実際は解決していない」などと言って新たな言いがかりをつけられることを阻止するメリットがあります。

ここで重要なことは、(1)解決する案件の対象を明確にすること(何に関するトラブルを解決するための書面なのか)、(2)書面の作成をもって解決すること(これを「清算条項」と言います)を明確に合意することです。

その例としては、「本書面の対象は、AとCとの婚姻期間中における、BがAとの間の不倫をした一切に関する清算である」、というように、誰と誰の間のトラブルで、いつのことかをきちんと明確にしなければならないのです。

 

メリット②後になって「言った」「言わない」のリスクを回避できる

メリット②はメリット①と関連するのですが、きちんと合意した内容を争いの内容に書面に残すことで、後になって「言った」「言わない」のトラブルを防ぐことができます。

離婚や男女問題のトラブルにおいては、一度解決に納得しても、後になって「やっぱり許せない」という気持ちが高まってきて、やっぱりあの解決はなかったことにしてほしい、という事態が生じることがままあります。

しかし、法律的に有効な書面で解決内容を合意すれば、後になって相手方が反故にしようとしても、書面をもってもう解決したこと、と明確に反論することができるのです。

トラブルが解決したことが書面として残っていれば、「言った」「言わない」問題は起きず、これ以上に有力な反論はありません。

皆さまも、もし離婚トラブルや男女問題を解決しようとする場合、法的にきちんとした形で解決内容を書面として残すことをお勧めします。

 

メリット③いざとなったら裁判の有力な証拠になる

最後のメリットですが、もし解決した内容が書面として残っていれば、後になって紛争が再燃して裁判沙汰になったとしても、裁判所は書面といった客観的な証拠を非常に重視するため、書面に残したということが有力な証拠になるのです。

そのため、トラブルの解決内容があなたに有利な内容であればあるほど、書面に残す必要性があるといってよいでしょう。

この点、あなたがトラブルにおいて養育費や慰謝料といったお金を「支払う側」で一見して不利な当事者であったとしても、書面を残すことでそれ以上のお金を支払わなくてよい、というメリットになります。

一度お金を支払ったにもかかわらず、さらなる金銭の支払いを請求されて裁判となっても、示談書があることでそれ以上の金銭は支払わなくてよい、という証拠になるのです。

 

書面で残す場合の注意点

もっとも、書面に残す場合、どのような書面であってもよい、ということにはなりません。

書面に残す場合は、必ず両当事者同士が直筆で署名し、押印することを心がけましょう。

一方当事者だけが作成した自分に有利に書面は、証拠価値としては弱いのです。

不利な内容に署名・押印させるからこそ、有力な証拠価値が認められることになります。なぜなら、ふつうは自分に不利な内容に署名・押印しないという価値判断があるからです。

そして、せっかく書面で解決する以上、法的に有効な形で作成することをお勧めします。

そのために重要なことは、やはり法律の専門家・弁護士に相談することです。

当事務所は、離婚・男女問題に10年以上の経験を有する女性弁護士が、示談書・合意書・公正証書といったトラブル解決のための書面作成のアドバイスを行っています。

離婚(養育費・親権・慰謝料)・男女問題でお困りの方は、当事務所の法律相談を御利用ください。なお、法律相談は有料(30分5500円、女性の場合初回1時間まで5500円)で事前予約制(電話:011-281-4511、WEBフォーム)となっております。

 

 

2021年の離婚・男女問題の傾向

2021-12-31

当事務所は、女性弁護士が離婚・男女問題に特化して取り組む札幌の法律事務所です。

 

毎年、離婚問題については傾向は変化していくのですが、今年はモラハラに関する相談が多かったように感じられます。

「モラハラ夫」という言葉を聞くことが多くなりましたが、いまだにモラハラに悩んでいる女性(結婚していないカップルでもモラハラは発生しています)は多いのが特徴です。

加えて、パートナーからのモラハラにおいて、妻からのモラハラに悩む男性も多くなっているのが最近の傾向であると言えます。

現に、男性側から離婚を申し立てる理由に、女性からの暴言等が上位を占めるようになっているのです(もちろん、これは女性から離婚を申し立てる場合も同様です)。

不倫やDVといったわかりやすい離婚理由から、モラハラや性格の不一致といった証明や判断の難しい理由が原因で、当事務所へ相談に来られる方が多くなっているのです。

もっとも、離婚・男女問題の解決は、弁護士に早めに相談してどのように交渉や調停を進めるかの戦略作り、証拠集めが不可欠です。

 

当事務所は、道民の皆さまのために、2022年も離婚・男女問題に特化して取り組んでいきます。

年明けは1月4日からの営業となりますので、お困りの方は、当事務所の法律相談を御利用ください。法律相談は事前予約制となっておりますので、お電話(011-281-4511)、WEBフォームからご予約ください。

※良質な法律相談を提供させていただく、という観点から、法律相談は有料(30分5500円、女性の場合は初回1時間まで5500円)となっておりますので、ご了承ください。

 

離婚の法律相談時に準備すべき3つのこと

2021-09-13

〇現在離婚を考えていて弁護士に相談したいけどどうすればいいかわからない

〇弁護士に相談するには何を持っていけばいいの?

〇なにも準備せずに弁護士に法律相談してもいい?

 

実は、何も準備せずに弁護士に法律相談に行くのと、きちんと準備したうえで受ける法律相談は、弁護士から得られるフィードバックやアドバイスの量と質は驚くほど異なります。

今日は、短い時間で効率の良いアドバイスを受けるために、離婚の法律相談をする際に準備しておくべき3つのことを紹介します。

 

【離婚の法律相談時に準備すべきこと】

①メモに事実関係を時系列で記載する

②証拠を準備して持っていく

③「自分が何を知りたいか」を整理する

 

①メモに事実関係を時系列で記載する

まずは、あなたの婚姻履歴を時系列で記載するメモがあると、法律相談はとてもスムーズに進みます。

その際、5W1H(誰が、誰と、何を、いつ、どこで、どうしたか)を意識してメモを作るとわかりやすいので参考にしてください。

記載例

H26.3    交際開始
H28.5    結婚
H29.10  第一子誕生
H30.4       マイホーム購入(ローンは夫名義:2800万円)
R2.4          夫の浮気が発覚

弁護士は、あなたの経験してきた結婚生活を初めて聞くことになります。

その際、時系列のメモでどのような経緯で法律相談に至ったかがわかると、とても法律相談がスムーズに進みます。

これがなければ、いつ、何があったかを最初から弁護士が確かめなければならず、貴重な法律相談の時間を無駄にしてしまうことになります。

時系列で婚姻生活を整理することは、あなたの気持ちを整理することにもつながります。

ぜひ、法律相談の前にはメモ書きで構いませんので、時系列であなたの婚姻生活をまとめてください。

 

②証拠を準備して持っていく

2つ目に重要なことは、もしあなたの主張(浮気が疑われる、生活費を浪費している、モラハラ)がある場合、これを裏付ける証拠があればどのようなものでも直接法律相談時にもっていってください。

弁護士は、証拠をもとにあなたの権利を実現することができるかどうか(離婚できるか、親権をとれるか、財産分与・養育費をいくらもらえるか)を考えます。

そのため、証拠があればあるほど、確かなアドバイスを行うことができるのです。

時系列のメモに加えて証拠も整理されていると、初めての法律相談でも最終的にどうなるか、というところまでアドバイスすることも可能な場合があります。

時系列メモと証拠はとても重要、これは押さえていただければと思います。

 

③「自分が何を知りたいか」を整理する

最後に、時系列メモと証拠だけで事前準備としては十分なのですが、法律相談前に自分が今回の法律相談で何を知りたいかと整理しておくと聞き漏らしがなくなります。

限られた時間での相談だと知りたいことがたくさんあるはずです。

法律相談が終わった後にこれも聞きたかった、あれも聞きたかったというのはよくあることです。

そのため、法律相談で聞きたいことを事前に整理しておくと、質問漏らしがないので効率的です。

 

以上のとおり、今回はこれから離婚の法律相談を予定している方が準備すべきことをまとめました。

もちろん、これらの準備がなくても問題ありませんが、1回の法律相談でより効果的なアドバイスをもらうために、ぜひ参考にしてください。

当事務所では、離婚・男女問題に強い女性弁護士が札幌市民・北海道民の皆さまの法律相談に応じています。

法律相談は事前予約制となっておりますので、電話(011-281-4511)、WEBフォームから受け付けております。

お困りの方は是非ご相談ください。

 

※法律相談は30分5500円ですのでご了承ください(女性の場合は1時間5500円)。

 

離婚するかを迷っている場合に妻が取るべき行動3つ

2021-08-29

今回は、離婚を決意しているまでは言えないものの、夫と結婚生活を続けるかどうか迷っている場合に妻が取るべき行動を3つ紹介します。

 

―目次-

①すぐに結論を出さない

②10年後の経済的・精神的な自分の幸せを考える

③証拠を集める

おわりに

 

①すぐに結論を出さない

夫との結婚生活の継続に迷っている場合、「別居」や「離婚を切り出す」といった行動に出て、すぐに結論を出さないことが重要です。

たまたま夫婦関係がうまくいっていない時期かもしれませんし、先をよく考えることなく思い切った行動に出てしまうと、その後の離婚協議交渉や証拠集めが難しくなるおそれがあるからです。

離婚を前提に協議をするとしても、証拠を集めたうえで、事前に戦略を立てたうえで離婚協議や別居をスタートすべきなのです。

もっとも、耐えがたいDVやモラハラを受けている場合、早急に対応すべき場合があります。

そのような場合には、専門の弁護士に早期に相談することをお勧めします。

 

②10年後の経済的・精神的な自分の幸せを考える

すぐに行動をとらないとして、ではどうすればよいか?

離婚を取り扱ってきた弁護士としてのアドバイスとして、10年後の経済的・精神的なご自身の幸せを考えて(お子様がいる場合はお子様の幸せも含む)、結婚生活を続けるのがベストかどうかを考えることをお勧めします。

結婚生活で悩んでいる方の特徴として、「今のこの時のつらさ、苦しさ」にフォーカスされてしまい、なかなか先のことまで考えることが難しいことがあります。

しかし、そのような時こそ、結婚生活を続けることがご自身にとって良い選択肢となるかどうかを冷静に判断してください。

第三者に相談することで、客観的な視点の提供を受けることも可能です。

離婚を専門とする弁護士なら、結婚生活を続ける場合と離婚する場合のメリット・デメリットをプロの目線からアドバイスを受けることができるのでお勧めです。

 

③証拠を集める

最後に、結婚生活を続ける場合でも、離婚を前提に協議をする場合でも、財産分与や離婚原因等の協議に備えた証拠集めを始めておくことをお勧めします。

結婚生活を続ける場合でも、というのは、どこで離婚したい、と気持ちが変わるかはわからず、あらかじめいつ何が起きても大丈夫(例えば夫から逆に離婚を切り出される場合)、という準備をしておくことが重要だからです。

離婚協議をスタートする際に最も頼りになるのは客観的な証拠です(例えば夫が浮気をしている場合は不貞行為を証明する証拠、財産分与においては預金通帳や証券口座の把握)。

そのため、結婚生活で迷っている方は、万が一に備えて証拠を集めておくことをお勧めします。

 

おわりに

この記事では、離婚を決意した状況ではないものの、夫との結婚生活を続けるかどうかを迷っている状況における妻が取るべき行動を3つ紹介しました。

当事務所は、北海道、札幌にて離婚・男女問題において10年以上の経験を有する女性弁護士が、結婚生活に悩む女性のために法律相談を実施しています。

法律相談は事前予約制(女性の場合、1時間5000円【税別】)となっておりますので、電話(011-281-4511)、WEBフォームからご予約くださいますようお願いします。

養育費を支払ってもらえない場合、どうすればいい?

2021-08-15

「離婚時に決めていた養育費を支払ってもらえない…」

「養育費を勝手に減額された…」

「今月の養育費を待ってほしい、と言われて3か月がたっている。…」

 

今回の記事では、相手から養育費を支払ってもらえない場合に取りうる対応を説明します。

子どものいる夫婦が離婚する場合の大きな決め事の一つが「養育費」です。

そもそも養育費とは、親権をもって実際に子供を育てる親が、収入のあるもう一方の親から毎月受け取ることになる子どもの教育や生活のために必要となるお金のことです。

養育費は、離婚するときに、子どもの数・年齢と双方の親にの収入に応じて、裁判所が公表する養育費算定表に基づいて決めることが一般的です(当事者で決めるのが原則ですが、決まらなければ裁判所の審判手続、判決手続で決まることになります)。

しかし、一度決めた養育費も後になって支払ってもらえないことが多くあります。

この場合、とりうる対応策としては2つあります。

 

①任意で取り立てる方法

②裁判所の手続を利用して強制的に取り立てる方法

 

①任意で取り立てる方法

まず、任意で取り立てる方法です。

一言でいうと、「支払ってほしい」と直接、対面、電話、メールなどで直接伝えることです。

しかし、払ってほしいと言われてすぐ払うなら苦労しないでしょう。

この場合には、「弁護士名義」で内容証明郵便を送付する方法等があります。弁護士名義だと、も支払わなければ裁判手続を利用される、と印象付けられるので、心理的なプレッシャーはかけることができます。

もっとも、あくまで「任意」の請求にとどまるので、後述の②裁判所の手続を利用して強制的に取り立てる方法が取れるのであれば、そちらを進める方が効果的でスピーディです。

 

②裁判所の手続を利用して強制的に取り立てる方法

次に、「任意」の支払ではなく、裁判所の手続を利用して強制的に取り立てる方法があります。

裁判所の手続には(1)履行勧告の手続(履行の確保の手続)と(2)強制執行があります。

(1)履行勧告の手続は費用は掛からない一方で、あくまで任意の支払いを促すだけなので、あまり強制力がないというデメリットがあります。

相手の支払いが滞っている場合には、多少の費用は掛かるものの、(2)強制執行の申し立てがより良い選択肢となるでしょう。

ただし、(2)強制執行の手続を執る場合でも以下の2つの注意が必要です。

〇養育費支払が債務名義として合意されていなければならない
(調停調書や公正証書といった公的文書で養育費の支払いが合意されていなければならないということ)

〇差し押さえるべき相手方の財産を指定しなければならない
(勤務先の給与や預金通帳などの財産を差押え時に特定しなければならないということ)

そのため、口約束等では、すぐに養育費を差し押さえることはできず、まずは調停を申し立てたり、公正証書とする必要があります。

しかし、後になって養育費の支払いの債務名義を準備することは非常に時間と手間がかかります。

そのため、養育費の不払いを防止するという意味で、離婚する際にきちんと後のトラブルを予防できるように、調停調書や公正証書で離婚時の取り決めを残しておくのがベストといえるでしょう。

また、差し押さえるべき相手方の財産がわからない場合は、強制執行はできません。

しかし、差し押さえるべき財産がわからない状況を解決するために、2020年の民事執行法の改正によって、財産開示手続、第三者からの情報開示手続という相手の財産を調査する手続が整備されました。

これらにより、養育費不払いの場合の差押え財産の特定はだいぶスムーズとなっています。

しかし、いずれも法的に専門的な手続となりますので、実際に養育費の不払いで困っている方は、離婚問題・男女問題に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

 

最後に

養育費の支払いは、子どもの教育費や生活費に直結する重大な問題です。

いま、離婚を考えている方は、将来の養育費不払いは他人事ではないリスクの高い事項であることをご理解いただき、きちんとリスクを予防できるように離婚手続きを進めることをお勧めします。

実際に養育費の不払いに悩んでいる方は、法律を味方につけることできちんと養育費を回収することができることが多いので、この記事で解説した内容を参考にしていただければ幸いです。

 

当事務所では、北海道、札幌において離婚、男女問題の法律相談に特化した女性弁護士が、北海道民、札幌市民の皆様のお役に立つために法律サービスを提供しています。

離婚、男女問題の法律相談は事前予約制となっておりますので、お電話(011-281-4511)、WEBフォームからご予約をお願いします。

不貞行為の浮気相手が妻に対して負う慰謝料

2021-08-01

浮気は法律上は不貞行為と呼ばれ、浮気した配偶者と浮気相手は不法行為責任として慰謝料の支払義務を負うことになります。

この記事では、夫が第三者の女性と浮気をした場合に、妻が請求できる慰謝料について解説します。

 

1.不倫慰謝料の相場

2.離婚する場合の慰謝料と離婚しない場合の慰謝料

3.不倫慰謝料の交渉をうまく進めるには

 

1.不倫慰謝料の相場

浮気をした場合の慰謝料は、浮気をした回数、期間、子どもの有無等によりますが、50万円から300万円が多くの判例となっています。

場合によっては500万円を超える慰謝料が認められる場合がありますが、極めて例外的なケースといえます。

 

2.離婚する場合の慰謝料と離婚しない場合の慰謝料

浮気による慰謝料は、浮気をした結果、夫婦が離婚するかどうか、別居するかどうかで大きく異なってきます。

離婚の原因となった場合は、不法行為の結果が深刻なものとして、慰謝料が大きく算定される傾向にあるからです。

具体的には、浮気が直接の原因で離婚する場合は150万円から300万円の慰謝料が認められる場合が多いです。

一方で、浮気があっても夫婦関係が続く場合には、慰謝料は高く評価されないのが一般的です。

例えば、東京地方裁判所の判決(平成4年12月10日・凡例タイムズ870号)は、浮気をされた妻から浮気相手への慰謝料の請求について、浮気相手が支払うべき慰謝料は50万円と評価しています。

その理由として、浮気を主導したのは夫であること、妻は浮気相手の女性にだけ慰謝料請求を行い、夫に対しては請求していないこと、夫婦関係が続いていることが挙げられています。

 

3.不倫慰謝料の交渉をうまく進めるには

浮気をされた妻が浮気相手に対して慰謝料の請求を行う場合、離婚をするのかどうか、夫に対しても慰謝料を請求するのか、証拠はあるのか、という点を総合的に判断して、事前に戦略を練って交渉を進めることが最も重要になります。

そのため、配偶者の浮気が発覚してこれからどうしたらいいかわからない、という方は、離婚、慰謝料、男女問題に強い弁護士に相談して進めることをお勧めします。

当事務所は、女性側からの離婚・不倫による慰謝料の交渉、男女問題に豊富な経験を有する女性弁護士が北海道、札幌にお住いの皆様からの離婚・男女問題の法律相談にあたっています。

当事務所の法律相談は事前予約制となっておりますので、お電話(011-281-4511)、WEBフォームからご予約いただくようお願いします。

当事務所は、離婚するかどうか、慰謝料を請求すべきかどうかという、依頼者の皆さまが何をしたいのか、何をすべきかわからない、という段階から親身にサポートさせていただきますので、安心してご相談ください。

養育費は子供が何歳になるまでもらうことができるか?

2021-07-25

「離婚をするけど子供に十分な教育を受けさせるだけの養育費がもらえるの?」

「養育費がもらえるのって何歳まで?」

「養育費でもめた場合はどうやって解決すればいいの?」

 

子どもがいる夫婦が離婚する場合に決めなければならない大切なことのひとつが養育費を「何歳まで」払うのか、ということです。

この記事では、いつまで養育費を支払ってもらえるか、という点について解説します。

 

結論から言うと、子どもが成人する20歳の誕生日の月まで支払うことが多いです。

ただし、大学進学率が50%を超える現在では(旺文社・教育情報センターの記事より)、子供が大学を卒業する「22歳まで」、としたり「大学卒業年まで」と合意する夫婦も多いです。

基本的に養育費は夫婦の離婚合意の際に決める事柄なので、夫婦で決めた内容が原則として優先されます。

それでは、最初に養育費の支払いは決めていたものの、後になって子どもが大学に進学した場合や離婚後、母親が再婚した事情がある等は、どのような判断がされるのでしょうか?

 

たとえば、東京高等裁判所平成22年7月30日決定では、離婚時点で2人の子供が20歳になるまで支払うと合意した事案で、子どもAが大学に進学したため不足分の生活費を父親に扶養料として求めた事案において、4年制大学へ進学が相当高まっていること等を考慮して、父親に対して3万円の支払いを命じました。

これは、父親が母親に支払う養育費ではなく、扶養料として子供から父親への請求であるという特殊性があります。もっとも、裁判所が、大学進学率を考慮して大学卒業見込みの月まで扶養料として父親へ子供へ扶養料の支払いが認められた事例として参考になります。

 

また、養育費は、扶養義務を負う子どもの数と父母のそれぞれの年収をもとに、裁判所が公表する養育費算定表をもとに決めることになります。

この点、離婚後、養育費を支払わなければならない夫側が再婚し、再婚相手との子ども2人との間で養子縁組を行い、さらに再婚相手との間に1人の子供が生まれた事案で(元夫は追加して3人の子供の扶養義務を負うことになります)、元夫から元妻への養育費の減額が認められた事案があります(福岡高裁決定平成26年6月30日)。

このように、養育費の決め方は離婚する時点だけでなく、離婚後にも問題になることがあるのです。

養育費の計算や決め方は複雑で、納得した解決のためには高い交渉力が必要になります。

 

離婚をお考えの方、養育費でお悩みの方は、離婚・男女問題に10年以上の経験を有する弁護士が所属する当事務所の離婚法律相談をご利用ください。

法律相談は電話(011-281-4511)・WEBフォームから事前予約制で、法律相談料は女性の場合、1時間5000円となっております。

弁護士に離婚相談をするのが不安・心配な方へ

2021-07-18

「弁護士へ離婚の相談をするのは恥ずかしい…」

「プライバシーが漏れるのではないか心配…」

「今の段階で離婚の相談を弁護士にしていいのかわからない…」

 

離婚の相談は皆さまの大切なプライバシーに関わることで、たとえ専門家とはいえ第三者である弁護士に相談するのがはばかられる、という方は少なくありません。

当事務所に相談に来られる方も、相談に来るまで緊張していた、もっと早く相談しておけばよかった、という感想を述べられる方が多いです。

相談する側にとってみれば、「離婚するかしないか」、という一生に一度の大事の相談になりますから、どの弁護士に相談すればよいか、本当に自分の離婚問題を弁護士に相談してもよいのか、という、「相談する前の段階」で迷われるのは当然だと思います。

当事務所の法律相談は、相談する側の立場に立って、一人ひとりの相談者を大切にして法律相談にあたっています。

当事務所は、離婚事件を手掛けてきて10年以上にわたる経験を有しています。

代表の女性弁護士である川崎久美子が法律相談から解決までサポートすることを大切に、離婚・男女問題の解決を心がけています。

離婚をでお悩みの方は、早めに専門家に相談したうえで対応策を考え、有力な証拠を集めることがより良い解決へつながります。

そのため、離婚の相談を弁護士にしていいかどうかわからない、誰に相談したらいいかわからない、という方は当事務所の離婚法律相談をご検討ください(法律相談料:女性の場合は1時間まで5000円)。

法律相談は事前予約制となっており、電話(011-281-4511)、WEBフォームにて予約を受け付けております。

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